事業用車両を売却した仕訳はどう切る?勘定科目と売却損益

トラックやフォークリフトを売ったときの仕訳は、入金額を収入に立てるだけでは終わりません。帳簿に残っている未償却残高(取得価額のうちまだ償却していない部分)を先に確定させ、売却価額との差額を固定資産売却益か固定資産売却損に振り替えます。
同じ車両でも、償却の方法と売却した月によって差額の出方は変わります。売却価額が帳簿価額を下回れば損、上回れば益になり、さらに業者からの自動車税の精算金や名義変更の手数料を自社で負担したときの扱いも科目が分かれます。
本記事では、仕訳を2段で組む手順・直接法と間接法の書き分け・年度途中の減価償却費の入れ方・下取りやローン残債でつまずく処理まで、まとめて解説します。

現場買取ナビ編集部
現場買取ナビは、トラック・農機具・重機・フォークリフトの買取を扱う情報サイトです。買取相場が何で決まるか、不動車や事故車にどこまで値が付くか、必要書類と名義変更、部品や架装だけを売る方法、都道府県ごとの事情まで、業者に連絡する前に必要な判断材料を品目別に整理しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
トラックを売った仕訳は、帳簿価額の消込と差額の振替で2段になる
1段目で車両運搬具の帳簿価額を貸方に立てて帳簿から落とし、2段目でその金額と実際の売却価額との差額を固定資産売却益または固定資産売却損に振り替えます。入金額をそのまま雑収入に入れてしまうと、売った車両の帳簿価額が資産として残り続け、翌期以降も減価償却の対象として計算されてしまいます。
取得価額500万円の車両で、減価償却累計額が380万円、売却価額が150万円だった場合を考えます。
以下は計算の流れを示すための仮の数値で、買取価格の目安ではありません。
消費税は税抜で示しています。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金預金 | 150万円 | 車両運搬具 | 500万円 |
| 減価償却累計額 | 380万円 | 固定資産売却益 | 30万円 |
帳簿価額は500万円から380万円を引いた120万円なので、150万円で売れれば30万円の益、逆に100万円なら20万円の損になります。査定額が高いか低いかではなく、帳簿にいくら残っているかとの比較で益と損が決まるため、償却が進んだ古い車両ほど売却益が出やすくなります。
もう一点、計上する日付も押さえてください。引き渡しの日と入金の日が月をまたぐことは珍しくないので、引き渡し時点で売却の仕訳を切り、入金までは未収入金で受けておくと、どの月の損益になるのかがはっきりします。
法人と個人事業主で変わる、トラック売却益の置き場所
法人の場合は、固定資産売却益と固定資産売却損を損益計算書の特別利益・特別損失に計上する形が一般的です。本業の売上とは性質が違う取引なので、売上高に混ぜず別建てにしておくと、期中の粗利を見たときに数字が歪みません。
個人事業主は、ここが法人と同じにはなりません。
事業で使っていた車両を売った場合の所得区分は、事業所得の中で処理するのか、譲渡所得として別に申告するのかで帳簿の書き方が変わります。
どちらになるかは車両の用途や事業への使用割合によって判断が分かれるところなので、所轄の税務署か顧問税理士に確認してください。
帳簿上は事業主貸・事業主借を使って事業の外へ出す処理になることもあり、自己判断で売上に立てると後から修正が必要になります。
売却益が出たときに申告が必要になる条件は、事業用車両の売却で確定申告が対象になる条件で解説しています。先に区分を決めてから帳簿を組むほうが、期末にまとめて直す手間が省けます。
勘定科目の選び方と、直接法・間接法での仕訳の違い
使う科目は多くありません。
資産側は車両運搬具、控除項目として減価償却累計額、損益側は固定資産売却益と固定資産売却損、入金側は現金預金か未収入金です。
売却損益を1つの科目にまとめて「固定資産売却損益」として運用している会社もありますが、益と損を別科目に分けておくと、期末に内訳を追いやすくなります。
減価償却の記帳方法によって、車両運搬具の貸方に立てる金額が変わります。
| 記帳方法 | 車両運搬具の貸方金額 | 減価償却累計額 |
|---|---|---|
| 間接法 | 取得価額(500万円) | 借方に累計額(380万円)を計上して消す |
| 直接法 | 帳簿価額(120万円) | 科目を使わない |
直接法は毎年の償却額を車両運搬具から直接引いているため、帳簿価額そのものを貸方に立てれば消込が終わります。
間接法は取得価額が資産に残り続けているので、累計額を借方に持ってこないと残高が合いません。
どちらを使っているかは固定資産台帳と貸借対照表を見れば分かります。
台帳の残高と帳簿の残高がずれている状態で売却の仕訳を切ると、差額が全部売却損益に乗ってしまうので、先に一致を確認してください。
科目の使い分けをもう少し詳しく確かめたい場合は、事業用車両を売った時の勘定科目と固定資産の除却との違いで解説しています。
年度途中に売ったときの減価償却費を仕訳のどこに入れるか
期首から売却した月までの減価償却費を計上してから、残った帳簿価額と売却価額を比べます。この順番を逆にすると、償却しきっていない分が売却損益に混ざり、減価償却費と売却損の金額がどちらも実態と合わなくなります。
4月期首の会社が、期首帳簿価額144万円・定額法で年間償却額60万円の車両を8月末に売ったとします。
4月から8月までの5か月分は60万円×5÷12で25万円になり、これを減価償却費として計上した後の帳簿価額は119万円です。
売却価額が130万円なら11万円の売却益、90万円なら29万円の売却損になります。
ただし、売却した年度の償却費を月数按分で計上するかどうかには選択の余地がある場合があり、法人と個人事業主でも取り扱いが異なります。
前期までと違う方法で処理すると比較ができなくなるため、顧問税理士の方針に合わせるのが無難です。
未償却残高の求め方そのものは減価償却の途中で売却したときの未償却残高の処理で解説しています。
消費税の課税事業者であれば、売却価額は課税売上として扱われるのが一般的で、売却損益は税抜の金額で計算します。税込のまま帳簿価額と比べると損益が狂うので、免税事業者かどうかも含めて事業用車両の売却にかかる消費税と免税事業者の違いを確認してから仕訳を組んでください。
手数料と税金の精算金は仕訳の科目が分かれる
ここからは2026年8月時点の制度で書きます。
名義変更にあたる移転登録の法定手数料は、2026年4月1日の改定後、窓口申請で700円、ワンストップサービス(OSS)申請で600円です。
一時抹消登録は窓口500円・OSS450円、登録事項等証明書の現在証明は400円で、永久抹消登録の手数料は無料とされています。
改定前の金額を載せた資料が残っているので、印紙代を経費に落とすときは実際に支払った額を伝票と突き合わせてください。
これらの印紙代を自社が負担した場合は租税公課、業者や行政書士へ払う手続きの代行料は支払手数料で処理する形が一般的です。
金額が小さいので売却価額に含めて相殺したくなりますが、相殺すると売却損益が実態からずれます。
書類の準備と誰が申請するかの分担は法人と個人事業主で違う売却の必要書類で解説しています。
自動車税の精算金は還付金ではない
自動車税(種別割)は、年度途中に運輸支局で抹消登録をした場合に、抹消した日の翌月から年度末までの分が月割で減額されます。
計算は、既に納付した年税額から「年税額×4月から抹消登録の日が属する月までの月数÷12月」を引いた額です。
一方で、所有を移転する登録、つまり名義変更では還付されず、他の都道府県への転出登録や3月中の抹消登録も対象外とされています。
買取業者が「残り月数分の自動車税を精算します」と説明する場合、それは都道府県からの還付ではなく契約上の取り決めです。
入金は業者から来るので、売却価額の一部として扱うのか別建てにするのかは、契約書の記載を見たうえで税理士に確認してください。
自動車税は都道府県税で運用の案内も都道府県ごとに違うため、金額と手続きは車両の所在地の案内で確かめる必要があります。
重量税の還付は解体したときだけ
自動車重量税の廃車還付は、使用済自動車が自動車リサイクル法に基づいて適正に解体され、解体を事由とする永久抹消登録(解体届出)と同時に還付申請をした場合に受けられる制度です。
還付額は「納付された自動車重量税額×車検残存期間÷車検有効期間」で、車検の残存期間が1か月以上あることが条件で、1か月に満たない端数は切り捨てられます。
申請できるのは引取業者に車両を引き渡した最終所有者で、重量税を実際に納付した人かどうかは問われません。
この還付金は買取代金とは別に国から入る入金なので、売却の仕訳とは分けて記録してください。
どの科目で受けるかは処理方針によって変わるため、税理士に確認するのが確実です。
業者に売って名義変更しただけでは還付の対象にならない点も、自動車税と同じです。
下取り・ローン残債・リース車両は、仕訳の前に切り分ける
下取りは売却と購入を別の取引として記帳する
新しい車両を買うときに古い車両を下取りに出すと、請求書は差額だけで届くことが多いものの、帳簿では下取り車両の売却と新車両の取得を別々に切ります。下取り価額を新車両の取得価額から引いてしまうと、売却損益が消えるうえに新車両の減価償却の基礎になる金額も過少になり、その後何年も影響が続きます。
ローン残債があるときは未払金の残高を先に確認する
割賦やローンで購入した車両の場合、貸借対照表に未払金や長期未払金が残っています。
売却代金から残債を一括返済する取り扱いになったときは、入金額そのものではなく、残債の減少と差額の入金に分けて仕訳を切ります。
残債が売却価額を上回れば持ち出しになりますが、その持ち出し分は売却損ではなく債務の返済なので、科目を混ぜないでください。
リース車両は自社の固定資産ではない
所有権がリース会社にある車両を引き上げてもらう場合、自社の固定資産を売ったことにはならないため、固定資産売却損益は発生しません。
中途解約の違約金や精算金が出たときの科目は、リース契約の会計処理をどうしていたかによって変わります。
契約書と過去の仕訳を見比べてから判断してください。
車検証の所有者欄がリース会社や信販会社になっている車両は、そもそも自社で売却できないので、査定を依頼する前に名義を確認しておくほうが手戻りが少なくなります。
よくある質問
固定資産売却益と固定資産売却損は1つの科目にまとめてよいですか
固定資産売却損益として1科目で運用している会社もあります。
ただ益と損を分けておいたほうが、期末に何台をいくらで処分したのかを追いやすくなります。
どちらにするかを決めたら、期の途中で変えずに通してください。
引き渡しは今月で入金が翌月になる場合、仕訳はいつ切りますか
引き渡した時点で売却の仕訳を切り、入金までは未収入金で受けておくのが基本です。
入金日に「現金預金/未収入金」で振り替えます。
入金日にまとめて1本で処理すると、引き渡した月の帳簿に車両が残ったままになります。
廃車にした場合も売却の仕訳になりますか
値段が付かず解体処分した場合は売却ではなく除却の処理になり、固定資産除却損を使います。
売却(移転登録)と廃車(抹消登録)は手続きとしても別物です。
解体して永久抹消登録をすると自動車重量税の還付や自動車税の月割減額の対象になりますが、名義変更ではどちらも対象になりません。
値が付くかどうかは査定に出さないと分からないので、廃車費用を払う前に一度見てもらう選択肢はあります。
売却価額に消費税が含まれている場合、売却損益はどちらの金額で計算しますか
課税事業者であれば税抜の金額で帳簿価額と比べます。
税込のまま計算すると、消費税分だけ売却益が大きく出てしまいます。
免税事業者の扱いは課税事業者と異なるため、自社がどちらに当たるかを先に確認してください。
名義変更の手数料を業者が負担してくれた場合、何か記帳が必要ですか
自社が支払っていない費用は記帳しません。
租税公課や支払手数料を計上するのは、印紙代や代行料を自社で負担したときだけです。
無料をうたっていても、レッカー代やキャンセル料が別途かかる場合があるので、実際に何を負担するのかは契約前に確認してください。
売却益が出たら必ず税額が増えますか
売却益は他の損益と合わせて課税所得を計算するため、その期全体の状況によって結果が変わります。個人事業主の場合は所得区分の判断も入るので、税額への影響は税理士か所轄の税務署に確認してください。
まとめ
売却の仕訳でつまずく箇所は、ほぼ帳簿価額の確定に集まっています。
期首から売却月までの減価償却費を計上し、固定資産台帳と帳簿の残高を一致させ、そのうえで売却価額との差額を固定資産売却益か固定資産売却損に振り替えます。
この順番を守れば、間接法でも直接法でも残高は合います。
手数料と税金はそれぞれ別の科目で受けてください。
印紙代は租税公課、代行料は支払手数料、業者からの自動車税の精算金は制度上の還付ではなく契約上の入金です。
重量税の還付は解体して永久抹消したときだけの制度で、名義変更では受けられません。
個人事業主の所得区分やリース車両の精算金のように、個別の事情で結論が変わる部分は必ず税理士に確認してください。
ぜひ本記事の2段の手順と科目の分け方を参考に、引き渡し日の伝票から順に組み立ててみてください。
ぜひ本記事の帳簿価額の確定手順と勘定科目の分け方を参考に、引き渡し日の伝票から順に仕訳を組み立ててください。


