事業用車両を売った時の勘定科目|固定資産の除却との違い

4tダンプやユニック車を売ったときの仕訳で最初に迷うのが、売却代金をどの勘定科目で受けるかという点です。
答えは車両運搬具の減額と「固定資産売却益(または売却損)」の組み合わせで、売上高には計上しません。
同じ車両を手放しても、業者に売るのか解体して廃棄するのかで使う科目が変わり、後者では「固定資産除却損」になります。
事業用車両は減価償却の途中で手放すことが多いため、帳簿上の未償却残高をいくらで落とすかが処理の中心になります。
本記事では、売却時の基本的な仕訳・除却との使い分け・法人と個人事業主の違い・消費税の扱いまで、まとめて紹介します。

現場買取ナビ編集部
現場買取ナビは、トラック・農機具・重機・フォークリフトの買取を扱う情報サイトです。買取相場が何で決まるか、不動車や事故車にどこまで値が付くか、必要書類と名義変更、部品や架装だけを売る方法、都道府県ごとの事情まで、業者に連絡する前に必要な判断材料を品目別に整理しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
事業用車両を売った時の勘定科目は「固定資産売却益・売却損」
売却益・売却損で処理する基本的な考え方
トラックや重機を売った代金は、商品を売ったときの売上高とは別に扱います。
帳簿に載っている車両運搬具(または機械装置)を減らし、受け取った金額との差額を固定資産売却益か固定資産売却損として処理するのが基本的な考え方です。
差額がプラスなら益、マイナスなら損になります。
売却の仕訳に登場する4つの勘定科目
整理すると、売却の仕訳に登場する科目はだいたい次の4つに収まります。
| 勘定科目 | 何を表すか | 借方・貸方 |
|---|---|---|
| 現金・預金/未収入金 | 受け取った売却代金 | 借方 |
| 車両運搬具(機械装置) | 帳簿から外す取得価額または未償却残高 | 貸方 |
| 減価償却累計額 | 間接法で記帳している場合の累計額の取り崩し | 借方 |
| 固定資産売却益/固定資産売却損 | 代金と帳簿価額の差額 | 貸方/借方 |
直接法と間接法での記帳の違い
減価償却を直接法(取得価額から直接引いていく方法)で記帳しているなら、減価償却累計額は登場せず、車両運搬具の残高をそのまま落とします。
間接法なら累計額を取り崩してから車両運搬具の取得価額を落とすので、行数が1つ増えます。
どちらの方法でも売却益・売却損の金額は同じになるため、自社が普段どちらで記帳しているかに合わせてください。
固定資産の除却との違いは「代金を受け取ったかどうか」
除却は、資産を使うのをやめて帳簿から外す処理です。
売却との違いは、対価があるかどうかに集約されます。
解体業者に引き渡して廃車にした、災害で使えなくなった、部品取りにして残りを処分した、といった場合は代金の受け取りがないため、帳簿価額の全額が固定資産除却損になります。
ここで実務上まぎれやすいのが、「廃車にしたけれど鉄くず代として少額を受け取った」というケースです。
金額の多寡ではなく対価の有無で見るので、いくらかでも受け取っていれば売却の形になり、その金額と帳簿価額の差が売却損益になります。
廃車費用を業者に支払った場合は、その支払額を雑費や車両費として別に処理する考え方が一般的です。
手続きの面でも、売却と廃車は別の登録です。
売却は移転登録(名義変更)で車両そのものは残り、廃車は抹消登録で登録を消します。
動かない車両でも売却できる場合があるため、廃車費用を払って除却損を立てる前に、一度査定に出して比べる選択肢があります。
値が付かない車両かどうかの見極めは、対応品目と出張範囲で見る業者の選び方で解説しています。
減価償却の途中で売ったときの勘定科目と期中償却
事業用車両は、耐用年数が終わる前に売ることのほうが多いでしょう。
このとき論点になるのが、売却した期の減価償却費をどう扱うかです。
法人では、期首から売却日までの月数に応じて減価償却費を計上してから帳簿価額を確定させる方法と、売却期は償却せずに期首の帳簿価額をそのまま落とす方法のどちらも見られます。
どちらを採っても最終的な損益の合計は近い数字になりますが、売却益・売却損の金額そのものは変わるため、社内で処理を統一しておいてください。
帳簿価額を計算するときは、2つの点に注意します。
1つ目は、資本的支出の扱いです。
荷台の全面張り替えやクレーンの載せ替えのように、価値を高める支出を資産計上していれば、その分も帳簿価額に含まれます。
2つ目は、少額減価償却資産や一括償却資産として処理した車両で、帳簿上の残高がほぼゼロになっている場合です。
この場合は受け取った金額のほぼ全額が売却益になります。
未償却残高の求め方と、売却期の償却をどこまで計上するかについては、減価償却の途中で売ったときの未償却残高の処理で解説しています。
法人と個人事業主で勘定科目の扱いが分かれる点
法人は、車両の売却損益を他の事業の損益と合算して法人税の計算に含めます。仕訳も固定資産売却益・固定資産売却損でそのまま損益計算書に載ります。
個人事業主はここが違います。
事業用の車両を売った所得は、原則として譲渡所得として扱われ、事業所得とは別の区分で計算します。
そのため帳簿上は「事業主貸」「事業主借」を使って事業の外に出す処理をとることが多く、青色申告決算書の損益計算に売却益を直接載せない形になります。
減価償却資産のうち、使用可能期間が短いものや取得価額が少額で経費処理しているものは取り扱いが変わることもあるため、自分の車両がどの区分に当たるかは所轄の税務署か税理士に確認してください。
申告が必要になる条件や、事業用と家事用を兼用していた車両の按分については、売却で確定申告が必要になる3つの条件で解説しています。
消費税は売却代金の全額が対象になる
課税事業者が事業用車両を売った場合、消費税の課税対象になるのは売却代金の全額です。
固定資産売却益の金額ではありません。
帳簿価額80万円の車両を100万円で売って売却益が20万円だったとしても、課税売上として扱うのは100万円の側です。
ここを売却益の金額で計算してしまう誤りが起きやすいところです。
税抜経理と税込経理のどちらを採っているかで、仕訳に仮受消費税が出るかどうかも変わります。
免税事業者は消費税の申告そのものがないため、受け取った金額をそのまま処理します。
買取業者から提示される金額が税込なのか税別なのかは契約書の記載で確認してください。
免税事業者と課税事業者で何が変わるかは、売却に消費税はかかるかの課税と免税事業者の違いで解説しています。
自動車税と重量税の精算額は、勘定科目を分けて考える
ここからの制度の記述は2026年8月時点の内容です。売却の場面で混同されやすいのが、税金の還付と業者からの精算金の違いです。
自動車税(種別割)は、年度途中に運輸支局で抹消登録をした場合に、抹消登録をした日の翌月から年度末までの分が減額されます。
一方で、所有を移転する登録(名義変更)をしたときや、他の都道府県へ転出する登録をしたとき、3月中に抹消登録をしたときは還付されません。
つまり買取業者に売って名義変更をしただけでは、制度としての還付は発生しません。
業者が「税金分を精算します」と提示する場合、それは制度上の還付ではなく契約上の取り決めなので、売却代金の一部として扱うのが実態に近い処理になります。
都道府県によって案内が異なるため、金額と手続きは所在地の都道府県税事務所で確認してください。
自動車重量税の廃車還付制度も同じ考え方です。
この制度は、使用済自動車が自動車リサイクル法に基づいて適正に解体され、解体を事由とする永久抹消登録を行うと同時に還付申請をした場合に適用されます。
車検残存期間が1か月以上あることが条件で、納付された自動車重量税額に車検残存期間を掛け、車検有効期間で割った金額が還付されます。
売却して移転登録しただけでは対象になりません。
受け取った還付金は雑収入として処理する扱いが一般的ですが、判断は税理士に確認してください。
リース車両と残債があるときの処理でつまずく箇所
リース車両は、契約の形態によって帳簿の状態が変わります。
所有権移転外ファイナンス・リースとして資産計上している場合はリース資産とリース債務が帳簿に載っているため、中途解約や買い取りのときに両方を整理する必要が出ます。
オペレーティング・リースで賃借料として処理していた車両なら、そもそも自社の固定資産ではないので、売却の仕訳は発生しません。
名義がリース会社のままなら、自分の判断だけで売ることもできません。
所有権留保付きのローンで買った車両も同じです。
車検証の所有者欄が販売店や信販会社になっていると、完済して所有権解除の書類をもらうまで移転登録ができません。
残債がある状態で売ると、売却代金でローンを返済する形になり、代金が残債を下回れば差額を自己資金で埋めることになります。
この場合の仕訳では、長期借入金や未払金の減少と売却損益を同時に処理します。
名義の確認から入る手順は、残債があるときのリース車両の売却手順で解説しています。
仕訳を確定させる前に揃えておく書類
経理処理の根拠になるのは、売買契約書と業者からの支払明細です。
ここに記載された金額が税込か税別か、レッカー代や書類作成代が差し引かれているかを確認してから仕訳を立ててください。
差引項目がある場合、売却代金の総額と経費を分けて記帳するほうが、後から見返したときに金額の整合が取れます。
登録手続きの面では、移転登録(名義変更)の法定手数料は2026年4月1日の改定で窓口申請700円、OSS申請600円になりました。
一時抹消登録は窓口500円・OSS450円、永久抹消登録の手数料は無料です。
売り手が用意する主な書類は、実印を押した譲渡証明書、発行から3か月以内の印鑑登録証明書、代理人に任せる場合の委任状で、自動車検査証も必要になります。
事業用車両では事業用自動車等連絡書が加わる場合があります。
法人と個人事業主で揃える書類の中身が変わる点は、法人と個人事業主で違う必要書類5点で解説しています。複数社に出して金額を比べたい場合は連絡の集中という代償もあるので、一括査定で高値が出る仕組みと注意点もあわせて確認してください。
よくある質問
売却代金は売上高に計上してよいですか
固定資産の売却は本来の営業取引ではないため、売上高には計上しません。
帳簿価額を落としたうえで、差額を固定資産売却益または固定資産売却損として処理します。
売上高に混ぜると、売上高の推移が実態とずれてしまいます。
帳簿価額がほぼゼロの古いトラックが売れたときはどうなりますか
受け取った金額のほぼ全額が固定資産売却益になります。
減価償却が終わっている車両でも、備忘価額として1円が残っている場合はその1円を落として計算します。
年式が古くても輸出先に需要がある車種なら値が付くことがあるため、帳簿価額と実際の売却額が大きく離れることは珍しくありません。
売却損が出た場合、節税になりますか
法人では固定資産売却損が損金として所得から控除されるため、その期の課税所得は小さくなります。
ただし現金は売却代金の分しか入らないので、税負担が減ることと手元資金が増えることは別の話です。
個人事業主の場合は譲渡所得の区分で計算するため、事業所得との関係が法人と同じにはなりません。
個別の判断は税理士に確認してください。
複数台をまとめて売ったときは1本の仕訳でよいですか
1台ごとに帳簿価額が違うため、車両単位で売却損益を計算するほうが確実です。
契約書の金額が総額でしか示されていない場合は、業者に内訳の記載を依頼してください。
内訳がないと、どの車両でいくらの損益が出たのかを後から説明できなくなります。
動かない車両を引き取ってもらった場合の科目は何になりますか
代金を受け取ったかどうかで分かれます。
金額が少額でも対価を受け取っていれば売却として処理し、無償で引き取られ廃車になったのなら帳簿価額の全額が固定資産除却損です。
レッカー代を請求されて差し引かれた場合は、売却代金の総額と引き取り費用を分けて記帳しておくと、金額の根拠がはっきりします。
自動車税の月割還付は雑収入ですか
抹消登録によって減額された税額が還付された場合は、雑収入として処理する扱いが一般的です。
一方で、名義変更をしただけで業者から受け取った「税金相当額」は制度上の還付ではないため、売却代金の一部として扱う考え方になります。
どちらに当たるかは契約書の記載で確認してください。
まとめ
事業用車両を売ったときは、車両運搬具を帳簿から落とし、受け取った代金との差額を固定資産売却益か固定資産売却損に振り分けます。
対価のない廃棄なら固定資産除却損になるので、代金を受け取ったかどうかで科目が分かれると覚えておくと迷いません。
消費税は売却益ではなく代金の全額が対象になり、自動車税や重量税の還付は抹消登録を伴う場合に限られます。
個人事業主の譲渡所得の扱いや、リース・残債がある車両の整理は条件で結論が変わる部分です。ぜひ本記事の仕訳の考え方と除却との線引きを参考に、契約書の金額の内訳を確認したうえで、判断に迷う点は税理士や所轄の税務署に相談してください。
ぜひ本記事の売却代金の有無による固定資産売却益・売却損と固定資産除却損の判断軸を参考に、契約書の金額の内訳を確認してください。


